補欠選挙の勢いで国際社会が現政権を認めれば、天然資源と安い労働力を求める諸外国・企業との経済活動が盛んになり、流入する外貨は現政権の資金になる。その先はどうなっていくだろう。 2008年以降ビルマ軍政は動いた。 これまで通りの軍政では存続困難と見たのだろう、どう変化すれば国際社会から孤立せずに長く軍政を維持していけるかと、周到な準備のもとに計画を進めているようだ。 2008年、憲法は軍が作った。 2010年、国会も軍が握った。 2011年、国民が関与しない選出方法で、テインセイン将軍を大統領にした。 2012年、国軍寄り集団を仲立ちに、民族武装勢力との和平/戦闘状態をコントロールした。 年内には、民主化政策をうちだす現大統領のもと、外国が経済制裁を解くなどして市場獲得競争を始めそうだ。 2014年にはASEAN議長国を務めて、アジア地域の信用を得る。 そして、2015年に次期総選挙を行うことになっている。これが公正に行われる保証は何もない。 ビルマから「いいニュース」が聞こえてきても、今の権力者たちを信用するのはまだ早い。国民はこれまで何度も「あと一歩」という希望を国軍に踏みにじられてきた。 テインセイン大統領の民主化政策は現政権側のタイミングと内容でうちだされるのみで、国民に対応する政府の姿を、私たちはまだ見ていない。前軍政トップのタンシュエ上将がニュースから姿を消していられるのも、力を保持していればこそだろう。この国は、憲法で軍にクーデターを起こす権利を与えているが、国民に基本的人権を保障していない。現状では、権力者が望めばいつでも望んだ国家体制に戻る。 政治囚の解放・内戦終結などは民主化に当然のこと、スタート(ゼロ)地点にたつことでしかない。後退しない民主化には、少なくとも次のことが必要だ。 ●政治犯への恩赦は一時的処置として、言論・思想の自由を認めた人権的見地から過去の科刑を補償する。 ●少数民族と停戦合意したら、内戦地域の復興と国内外避難民の計画的帰還を進める。 ●行政・立法府内の軍人枠を計画的に廃止して、憲法と司法・立法など社会システムを改善し、それに基づいた軍の統治を開始する。 2010年の総選挙強行で1990年の総選挙結果はもみ消され、今や軍が決めた英語国称「ミャンマー」も一人歩きし始めている。ビルマにこれ以上血を流さないためには、国民も、今の権力者たちも怖れから解放されるよう、歩み寄りながら進んでいくしかないだろう。 諸外国には、どうか、この国を厳しく見守り、支えてほしい。 2012年2月4日
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